INTERVIEWインタビュー

記憶に残る「特別な場所」を
デザインする。

株式会社ドラフト 代表取締役 / Creative Director

山下 泰樹

1981年生まれ。2008年に株式会社ドラフトを立ち上げる。オフィスや店舗、商業施設などの空間デザインにおいて、 企業のブランディング戦略の実現や新しい価値を創造するデザインが国内外で高く評価されている。現在は、東京・大阪を拠点に活動し、建築・環境・インテリアの領域に置いて幅広くデザインプロジェクトが進行中。今回は、株式会社インフィールドが新規開業する「御茶ノ水トライエッジカンファレンス」のデザイン設計を担当。

デザインの力で、仕事時間を充実させたい

オフィスを中心に「働く場」のデザインを手がけています。
多くの人にとって、オフィスは人生の大半を過ごす場所です。その場所で充実した時間を過ごすためには、会社や組織の事情が大きく影響することは言うまでもありません。けれど、空間やインテリアデザインの力でもサポートできることがあるのではないか。同じ8時間を過ごすにしても、素敵な場所であれば「明日もいい仕事をしよう」と思えるのではないか。私たちの仕事は、そんな発想からスタートしました。
今回のテーマは「会議室」。ディスカッションを重ねる中で、インフィールドのスタッフの方が発した「会議とは、新しいアイデアやイノベーションを生み出す重要な機会なんだ」という言葉が印象に残っています。ここから、意思決定のスペシャルな場としての、スペシャルな会議室のプランニングがスタートしました。

上質感のある「学びの場」であるために

キーワードとして浮かんだのは「上質感」。そして「自由」。
グレードの高いホテルを訪れると、特別な場で特別な時間を過ごしたことが、体験として自分の中に刻まれます。そんな「上質感」を、デザインを通じて会議室でも感じていただきたい。同時に、ただ高級感をアピールするのではなく、大学のように自由に発想する「学びの場」としての機能もイメージ。訪れる人に、ここが「特別な場所」であると感じていただき、この空間だからこそできる会議やセミナーに活用していただきたいと考え、デザインを進めました。

コンセプトから運用後の使い勝手まで、仔細に検証を重ねる

会議室という空間は、4枚の壁と床・天井しかないシンプルさゆえに、デザインできることが限られてしまいます。これを素敵に見せるにはどうしたらいいか。ルーティーンになりがちな場を「特別な場」にするには何が有効か。その回答として、正面の壁面をステージに見立てたデザインを提案。あえて造作の下がり天井を設置し、間接照明をぐるりと回すことで、講師のプレゼンテーションに特別感を感じられるよう演出しました。
さらに課題となったのは、フロアの中央に位置する共有スペースです。運営効率から考えて、この空間をラウンジにするのが最も合理的なのは間違いありません。ただ、それぞれの会議室から出てきた人たちの、それぞれのテリトリー意識は尊重したい。そこで、空間を遮ることを目的に、構造上は必要ない装飾としての2本の柱を立てました。これは、この会議室を象徴するアイコンとしての役割も果たしています。
一方、せっかくデザインした「上質な空間」のコンセプトが維持されるためには、運用開始後に発生する課題を想定しておくことが欠かせません。
特注の受付カウンターや、配布資料・お弁当等を置ける掘り込み棚を各部屋の入口横に配置。室内にはコート掛けやゴミ箱など、雑多になりやすいものを全て壁面に埋め込み、デザイン性と機能性を両立させています。
こうした課題を一つずつ細かく検証し、プランに取り入れていくことで、私たちにとっても新たな発見がありました。

特別な会議の場として記憶に刻まれる空間に

私自身、独立して間もない頃、会社の方向性を決める重要な会議を開いたことがあります。その際、「せっかくなら素敵な場所を借りよう」と考え、ちょっと無理をして高級な会議室を借りたんです。あれから6~7年経ちますが、そこで決めた内容はもちろん、当時の空気感などは、今もリアルに覚えています。
「御茶ノ水トライエッジカンファレンス」が、そんな特別な空間として利用され、企業の歴史の片隅に刻まれていくことを願っています。

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